波のなかの微光

暖かな休日の朝。

かなりきつい状態で、起きぬけに階下のリビングで母と言葉を交わす。

むすびが朝ごはんを残さず食べてくれたこと、夜中に毛玉を吐いていたことなど、とりとめなく。

 

会話の途中で、「しんどい…」と口からこぼれた。

母が背中をさすってくれた。

 

会話を続けようとしたけれど、涙が溢れて嗚咽しか出ない。

「むーちゃんびっくりしてるねぇ」

母の声が遠のいてゆく__

 

ときどき苦しくて悲しくて泣いてしまう。

仕事へ向かう電車の中で、地下道で。

 

私のこころは私が持ち主であるのに、その波をコントロールできない。

人間だからそーゆーこともあると思うのだけれど、

軸を見失っているような、心許ない日々が続いていた。

 

そんな中、父が見ていたテレビをたまたま一緒にみた。

プロジェクトX、大谷翔平を日ハム時代に二刀流に育て上げた周りの大人たち、影の立役者たちにスポットを当てた胸熱な物語だった。

 

司会者が、元監督の栗山英樹さんに尋ねる。

「二刀流なんてできると思っていましたか?

自信はあったのですか?」

 

栗山監督はこう答えた。

「できるとか自信があるとか、一切ないです。

できるかできないかは、全く関係ないんです。

やるかやらないか、それだけです」

 

できるかできないかじゃなくて、

やるかやらないか。

 

本気で向き合っている人にしか出てこない言葉だと思った。

その言葉が胸に刺さりすぎて、涙が止まらなかった。

 

当時つけてらした日記も、ほんの一部紹介されていた。

そこには、ありのままの不安が綴られていた。

どれだけ大人になっても、経験を積んできても、はじめてのことに挑戦するのはものすごく不安だし、歳を重ねるごとに背負うものもどんどん増えていくから、プレッシャーも増す。(これは思い込みかもしれないけれど…)

 

ひとりの才能溢れる野球青年を、大の大人たちが一丸となって、大事に育てようって、世界の宝だと信じて、これほどまでに本気で取り組んだこと、もう最高で

野球が好きで好きで、好きすぎるんだなぁ

 

この物語を見ることができて、栗山監督の言葉に出会って、

自分の中でなにかが切り替わるのを感じた。

 

 

いい絵を描きたい。