「包摂とQ」ギャラリー@KCUA
展覧会タイトルやフライヤーが意味深だったのでステートメントを何度も読み返してみる。。
「包摂」は社会という大きな枠組みの中で言われる多様性と、個人が可能な寛容や許容を、それが本当に善いか否かも含め問題意識として持ち、作品へ反映することに努めたと解釈した。
「Q」は各作家のテーマにQで始まる英単語を当てはめて共通項として見出されたそうだ。

中村太一さんの絵は描画法が自由で、主題にもいい感じに影響し合っているように見えた。
釣り人や魚、葉などのモチーフは不透明色に対して、水の中や背景など舞台とされるパートは透明色で描かれていて、その使い分けが新鮮だった。
油彩と水彩が、同じ画材で描かれているかのようにとても近しいヘルツを発していてすごいなと思った。イラストレーションのような軽やかさが好ましかった。
駆け足だったこともあり、企画の意図されるところでの鑑賞はあまりできなかったけれど見られてよかった。先月のゴッホ展は、コンセプトの体現度が高い分、道筋が定められすぎている感があり、感じることまで定められているような違和感があったから、いざなうってなんなのだろうなぁと考えるきっかけになった。
考えれば考えるほど、寛容でいようとすればするほど、手つかずのもやが増えていくけれど、安易に分かりたくない。腹落ちすることはほんのわずかという地平に立っていたい。
考えることと感じることを大事にしたい
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5月から描いてきた絵がようやく完成しそうです。
モチーフの選択と配置、構図に長いこと向き合っていましたが、モチーフとしての本ではなく、彼女のリアリティとしての本を描き入れたことで、画面が強くなりました。
うれしい出来事でした
