夜の喫茶店/本のこと

仕事帰りに立ち寄る喫茶店がある。

乗り継ぎ途中のコメダ珈琲店。

 

清潔が保たれていて、座席の距離感や内装や照明、そして音楽がちょうどいい。

店員さんも感じのいい方ばかり。

気取らずおしゃれすぎず、生活の延長線上に存在してくれている感じが私に合っていて、今いちばん好きな場所かもしれない。

 

夜はコーヒーを飲まないので、いつも珈琲ゼリーのパフェ。

夜のパフェってかわいいね。

ふふふとなる。

 

メニューには“ゼリー”ではなく“ジェリー”と表記されている。

オーダーするとき、ジェリーと言うのが何だか恥ずかしくてゼリーと言ってしまう。

以前友人が堂々とジェリーくださいとオーダーしていて、普通のことを普通にできる素性に、ひそかに心打たれた。

私は毎回、今日もジェリーと言えなかったな…と自分のいくじなしに寄り添いながら、甘味を楽しむ。

 

喫茶店で時間を過ごす人々として馴染んできたところで、ノートを開き、今感じていること考えていることをしたためる。ごうごうと書き進める。

 

背中の羽が息を吹き返すように

腹の真ん中を万物が通り抜けるように

心がととのってゆくのを感じる。

 

家と職場のあいだの、この時空に身を置くことで、呼吸が楽になる。

瞑想やサウナなど世間にはととのえる方法がいろいろあるなかで、

私の場合は、散歩・ヨガ・コメダ。

 

お会計のとき、レジ脇に並んでいる豆菓子を3つ買って帰る。両親と私の。

季節でパッケージデザインが変わるので、母と、色が変わったねかわいいねなどと話したりして。

この豆菓子は、心をチューニングした夜のかけら。

翌朝キッチンに置いてあるのが視界に入ると、

昨夜のことを思い出し、ととのえたから今日は大丈夫だよって思える。

 

 

追記

今夜、珈琲ジェリーくださいと言えました。

 

✴︎

 

 

傷のあわい 宮地尚子 ちくま文庫

 

プロローグより

「けれど、そういう診断名ではつかみきれないもの、こぼれおちてしまうものをできることならうまくすくいだしたいと思ってきた。

七年の間、その人たちは私の心の中に息づいていた。その後、一度も会っていない人が多いにもかかわらず、イメージはむしろ鮮明になっていった。月日をかけてその人たちは「物語」として結晶化されていったのだ。」

 

宮地さんの息づかいが、そのまま言葉となって。

赤裸々や丸裸などとはまた違うのだけど、彼女の言葉、とても素直で、身体で例えるならなで肩という感じの印象を受けた。

例えがよくなさすぎるかな🤭

 

もしここを訪れてくださる方がいたら、おすすめしたい一冊でした。